そもそも文明って何?
「中国文明って世界最古の文明なんだな」
「何を言ってるんですか,せんぱい。世界最古の文明はメソポタミア文明ですよ」
「だって,黄河文明前半の仰韶文化は前5000年〜前3000年って書いてあるじゃん。メソポタミア文明は前3000年の文明だろ。2000年も黄河文明が先行してることになるんじゃね」
「……」
「……あの,その目,やめてくれる?」
「せんぱい,『文明』の意味,わかってます?」
「もちろん!」
「じゃあ,説明してください」「えっと,すごく便利……とか」
「……」
「……あの,その目,やめてくれる?」
「文明って言葉は『野蛮』との対比で考えると,わかりやすいです。文明を生み出す前の人間はクロマニョン人ですよね。中国で言えば,周口店上洞人です。彼らは,多くても数百人規模の集団で,槍や弓矢を手にマンモスとかの大型ほ乳類を狩ったり,栗を拾ったり,魚を釣ったり,貝を拾ったりしてるわけです」
(写真はイメージです)
「それが『野蛮』な感じ?」
「そうです」
「じゃあ,『文明』は?」
「まず都市が必要です。数千人とか数万人が暮らせるような。もちろん,その人口を支えられるだけの農業生産力。灌漑農業が始まってると,まさに文明な感じです。それから,もっと高度な技術が欲しいので,冶金術――青銅器や鉄器などの金属器を作る技術も欲しいです」
「野蛮人どもより進んでる感じだね」
「……。それに文字。数万人の人口を束ねる権力。それだけそろってると,文明と呼んでいいと思います」
「……? 黄河文明って,文字も冶金術も都市もないよな?」
「はい。そもそも『新石器文化』ってくくりですから,まだ石器時代です」
「じゃあ,まだ『文明』じゃないじゃん。中国文明って呼んでるくせに」
「フライングな感じですね。中国が青銅器時代を迎えるのは殷の時代ですし,完成した文字体系を持つのも殷の時代です」
「じゃあ,文明と呼べるのは……」
「そうです。殷の時代なんです。前1600年ころで,インダス文明よりも新しいです」
文明の条件
①都市(城壁を備えたものがベスト)
②文字体系
③冶金術(青銅器や鉄器)
④権力(巨大な神殿や宮殿)
⑤農業生産力(灌漑農法)
(つづく)
0 件のコメント:
コメントを投稿